【アメリカ】PLAYISMの『8番出口』が300万本を突破。Steamレビューの半分は英語で、日本語は1割だった

3行サマリー
- PLAYISMとKOTAKE CREATEが9月7日、『8番出口』の全世界累計販売本数が300万本を突破したと発表しました。
- 200万本の報告は2025年8月でしたので、直近の100万本はおよそ1年で積み上がった計算になります。
- Steamのユーザーレビュー1万1521件を数えると、日本語は1278件で11.1%。英語が5464件で47.4%を占めていました(2026年9月8日13時台・日本時間に筆者が集計)。
PLAYISM、『8番出口』の全世界300万本突破を発表。直近の100万本はおよそ1年で積み上がった
インディーゲームのパブリッシングブランドPLAYISMは9月7日、KOTAKE CREATEが開発したウォーキングシミュレーター『8番出口』の全世界累計販売本数が300万本を突破したと発表しました。記念として、PS Storeを除く各プラットフォームで『8番出口』と続編『8番のりば』のセールを実施し、渋谷・道玄坂のハッピーボードに9月7日から1週間の記念広告を出しています。
『8番出口』がSteamで発売されたのは2023年11月29日ですから、300万本までにおよそ2年9か月かかったことになります。ただ、その内訳は前半と後半でずいぶん違います。200万本が伝えられたのは2025年8月。その2025年8月29日に実写映画の公開とSwitch 2版の配信が重なり、そこからの約1年で100万本が積み上がりました。地下通路をひたすら往復するだけの短編が、ゲームの外側へ広がってから数字が伸びた形です。
発表はPLAYISMとKOTAKE CREATEから。GematsuとGAME Watchが同じ日に伝えた
出典:The Exit 8 sales top three million(Gematsu / 2026年9月7日)
出典:「8番出口」累計販売本数300万本突破! 「8番出口」と「8番のりば」がお買い得になる記念セール開催(GAME Watch / 2026年9月7日)
Total sales for anomaly escape game The Exit 8 have surpassed three million copies, publisher PLAYISM and developer KOTAKE CREATE announced.
(訳:異変探しの脱出ゲーム『8番出口』の累計販売本数が300万本を超えたと、パブリッシャーのPLAYISMと開発元のKOTAKE CREATEが発表した)
300万本の地域別・プラットフォーム別の内訳は公表されていません。ですので「どこで売れたのか」は、発表からは分からないままです。
Steamのレビュー1万1521件を数えると、日本語は1278件の11.1%だった
そこで、公開されている数字を自分で数えてみました。Steamのレビューは言語ごとに件数を取り出せます。2026年9月8日13時台(日本時間)に『8番出口』(Steam app 2653790)を集計した結果が次のとおりです。
- 全体:1万1521件(うち好評1万716件・93.0%)
- 英語:5464件(47.4%)
- 日本語:1278件(11.1%)
- 簡体字中国語:1176件(10.2%)
- ロシア語:936件(8.1%)
- 韓国語:649件(5.6%)
- 繁体字中国語357件、ドイツ語334件、フランス語282件、ブラジルポルトガル語247件、スペイン語217件
日本語以外が88.9%です。念のために書いておくと、これはSteam版のレビューを書いた人の言語設定であって、販売本数そのものではありません。Switch・PlayStation・Xbox・スマートフォン版は含まれませんし、レビューを書く割合も国によって違います。それでも、日本語で書かれたレビューが英語の4分の1以下だという事実は、この作品がどこで読まれてきたかの手がかりにはなります。
個人的に意外だったのは、簡体字中国語とロシア語です。どちらも日本語に迫る件数で、合わせると日本語の1.6倍を超えます。日本の地下通路という、現地の人には縁のない風景が、そのまま気味悪さとして通じたということなのだと受け止めました。
続編『8番のりば』では、日本語レビューの好評率だけが8ポイント低かった
同じ日に続編『8番のりば』(Steam app 2903560)も数えました。全体2857件のうち英語が1284件、日本語が467件です。ここで目に付いたのは件数ではなく、好評率のほうでした。
- 英語:1284件中1110件が好評(86.4%)
- 日本語:467件中365件が好評(78.2%)
Steamの表示ラベルでも、英語は「非常に好評」、日本語は「やや好評」と一段下がります。ちなみに1作目では日本語91.7%・英語93.6%で、差は2ポイントほどでした。続編で評価が割れたのは日本語圏のほうだった、という読み方ができます。
1作目は「異変を見つけて引き返す」というルールの発明そのものが驚きでした。続編は電車内へ舞台を移し、ルールを知っている人に向けて作られています。前作の体験を強く覚えているぶん比較の目が厳しくなる、というのはありそうな話です。日本語圏は発売当時から追いかけてきた層が厚いので、その差が出たのだと思います。
北米はNEONが4月10日に公開。ロッテントマトは162人中93%で、ゲーム原作映画の最高評価に
ゲームの外側でも、この作品は英語圏で数字を残しています。川村元気監督・二宮和也主演の実写映画『8番出口』は、2025年5月19日のカンヌ国際映画祭ミッドナイト部門でワールドプレミアを迎え、8分間のスタンディングオベーションとポスターデザイン賞を受けました。日本公開は2025年8月29日、北米はNEONが配給して2026年4月10日に公開されています。
批評家の評価は、2026年4月8日時点のロッテントマトで162人中93%が好意的、平均7.2点。メタスコアは31人の批評で71点でした。ScreenRantは4月10日付で、これがロッテントマトとメタクリティックの両方でゲーム原作映画の歴代最高評価だと報じています。カンヌで最初にレビューを出したScreen Internationalのジョナサン・ロムニー氏は、この作品が「日本の外でも確かなカルト的地位を得るはずだ」と書きました。
興行面でも、韓国とロシアで初登場2位、トルコと香港でトップ10に入っています。米国では公開初週から1週間、7位を維持しました。地下鉄のホームで撮ったような画づくりが、駅の構造がまったく違う国でも成立したわけです。北米公開の前日には「歩く男」役の河内大和さんがニューヨークの地下鉄に立つプロモーションも行われました。
日本の駅を知らない人にこそ、あの居心地の悪さは届いた
300万本の内訳は分かりません。それでも、Steamのレビュー言語という別の窓から覗くと、この作品の読者の多くは日本の外にいます。日本語のレビューは11.1%で、英語の4分の1以下でした。
『8番出口』が海外で通じた理由を「バックルームの流行に乗ったから」と説明するのは、少し雑だと思います。あの通路は日本の地下街の質感そのもので、蛍光灯の色も、貼り紙の並びも、床のタイルの継ぎ目も日本のものです。見慣れていない人にとっては、最初から全部が少し異物だったはずで、だからこそ「異変を探す」というルールが効いたのではないでしょうか。日本人が見れば懐かしい風景が、外から見れば最初から不気味だった。その落差が、個人開発の短編を300万本まで運んだのだと思います。
そして続編で評価が割れたのは、その落差を共有していない日本語圏でした。ここは次の作品でどう動くか、数字を追い続ける価値があります。
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