【アメリカ】モンハン『ワールド』のSwitch 2版は「一から作り直し」。カプコンが海外取材で示唆、3000万本の最大ヒット作が置き去りに

3行サマリー
- カプコンの辻本良三プロデューサーが東京ゲームショウ2026で、『モンスターハンター:ワールド』のNintendo Switch 2版について「一から作り直すことになる」と語ったと、英語メディアのThe Gamerが日本時間9月19日未明に報じました。
- 『ワールド』は拡張『アイスボーン』と合算で累計3000万本に到達済み(2026年6月26日・公式発表)。カプコンのIR資料では本編単体で2240万本、『ライズ』1930万本、『ワイルズ』1180万本です(いずれも2026年6月30日時点)。
- 一方『モンスターハンターワイルズ』のSwitch 2版は2026年12月4日に39.99ドルで発売予定で、その移植開発は2025年6月に始まったとファミ通のインタビューで明かされています。
辻本良三プロデューサー「エンジンがまったく違う。一から作り直すことになる」
東京ゲームショウ2026の会期中(9月17日から21日)、モンスターハンターシリーズの辻本良三プロデューサーが、『モンスターハンター:ワールド』をNintendo Switch 2へ移植する見込みについて英語メディアThe Gamerの取材に答えました。その内容が日本時間9月19日の未明に公開され、英語圏のゲーマーの間で一気に広がっています。
挙げられた理由は、ハードの性能ではなくゲームエンジンでした。『ワールド』はカプコンの旧世代エンジンであるMT Frameworkの改修版で動いており、『モンスターハンターライズ』以降のシリーズは自社製のRE Engineに移っています。つまり『ワールド』だけが、いまのカプコンの開発ラインから切り離された場所に取り残されている。そういう説明です。
ひとつ注意しておきたいのは、発言そのものは「移植しない」という断定ではない点です。The Gamerの見出しも「示唆した(suggests)」という言い方にとどまり、後追いしたNintendo Lifeも「おそらく来ないだろう」と幅を持たせています。プロデューサーが語ったのは、あくまで技術的な障壁の大きさでした。
The GamerとNintendo Lifeが伝えた原文と、そこに書かれていないこと
出典:Monster Hunter Producer Suggests World Won’t Get Switch 2 Release(The Gamer / 2026年9月18日 米東部時間、日本時間9月19日)
出典:Monster Hunter World Probably Won’t Be Coming To Switch 2(Nintendo Life / 2026年9月19日・Liam Doolan記者)
The main challenge is, the engine is completely different for Monster Hunter World. We’d have to completely remake the game from the ground up.
(訳:一番の課題は、『モンスターハンター:ワールド』ではエンジンがまったく違うということです。ゲームを一から作り直すことになります。)
The Gamerによれば、この発言は同誌が東京ゲームショウ2026の会場で行った取材の一部で、辻本プロデューサーを含む開発チーム4名への完全版インタビューは後日公開の予定だそうです。現時点でこの発言を載せているのはThe Gamerが最初で、Nintendo LifeもGoNintendoも同誌を引用する形で伝えています。日本語の一次記録は確認できていないため、本記事ではThe Gamerの報道に帰属する形で扱います。
なお、同じ東京ゲームショウで行われたファミ通のインタビューは別の話題を扱っており、『ワールド』移植には触れていません。そちらで語られたのは、『ワイルズ』のSwitch 2版がどう作られたかという話でした。
2018年のMT FrameworkとRE Engine、カプコンが引いた線の内側と外側
『モンスターハンター:ワールド』は2018年発売、シリーズを世界市場へ押し上げた一本です。カプコンのIR資料「Platinum Titles」によれば、本編単体で2240万本、拡張コンテンツ『アイスボーン』が1670万本(いずれも2026年6月30日時点)。公式アカウントは2026年6月26日に、本編と『アイスボーン』を合わせて累計3000万本に達したと発表しました。カプコンがこれまでに出したタイトルのなかで、最も売れた作品にあたります。
その最大のヒット作が、いまは自社の標準から外れた位置にある。ここが今回の話の芯だと受け止めました。同社はRE Engineへの集約を進めており、『ライズ』(1930万本)も『ワイルズ』(1180万本)もRE Engine系です。MT Frameworkで作られた『ワールド』を新しいハードへ持っていくことは、実質的に新作を1本作るのに近い作業を意味します。
Nintendo Switch 2の販売台数は2026年6月30日時点で2368万台(任天堂IR)。初代Nintendo Switchの1億5659万台と比べればまだ育っている途中ですが、3000万本のタイトルを抱えるカプコンにとって無視できる規模ではありません。それでも作り直しの判断には至っていない。今回の発言の重さは、そこにあります。
海外ゲーマーが求めているのは『ワールド』ではなく『ライズ』のSwitch 2対応だった
英語圏のコミュニティの反応が「残念だ」一色にならなかったところが、個人的にはいちばん印象に残りました。Nintendo Lifeの記事には読者コメントが40件以上付いていますが、最も多くの支持を集めたのは移植を惜しむ声ではなく、別のタイトルへの要望だったのです。
最多の18票を集めたコメントは「『ライズ/サンブレイク』のSwitch 2版を出してくれるだけで自分は満足だ」という趣旨のもので、6票を集めた投稿も「『ライズ』の60fps対応のほうがうれしい」と続きます。『ワールド』のほうが優れていると主張する声(「『ワールド』のほうがずっと楽しめた」11票)と、『ワイルズ』への不満を述べる声が同じ場所に並んでいるのも、シリーズの評価が割れている現状をそのまま映していますね。
技術面に踏み込んだ受け止めもありました。「彼はSwitch 2が処理できないと言っているのではなく、そもそもエンジンのコードを読めないと言っている」という整理がコメント欄で支持を集めており、辻本プロデューサーの説明はおおむね正確に伝わっているようです。
この諦めは今回が初めてではありません。掲示板ResetEraでは2026年1月の時点で「モンスターハンターワールドのPS5/Xbox Series X/Switch 2ネイティブ版はありうるのか」というスレッドが立ち、そこでも「MT Frameworkはカプコンにとって行き止まりのエンジンだ」「作り直すくらいなら新作を作ったほうがいい」という結論に落ち着いていました。今回の発言は、海外のコアなファンがすでに用意していた答えを、公式に近い立場からなぞった形になります。
日本のプレイヤーにとっては、12月4日の『ワイルズ』がSwitch 2での唯一の入り口になる
Switch 2でモンスターハンターを遊びたい日本のプレイヤーにとって、今回の発言が意味するのは選択肢の整理です。『ワールド』は当面PlayStation・Xbox・PCに据え置かれ、Switch 2で新たに遊べるようになるのは2026年12月4日発売予定の『モンスターハンターワイルズ』Switch 2版、ということになります。価格は北米で39.99ドルと案内されています。
その移植は急ごしらえではありません。Switch 2版プロデューサーの砂野元気氏はファミ通のインタビューで「開発は2025年6月ごろから始めていました」と述べており、発売までおよそ1年半をかけた計算です。エグゼクティブディレクターの藤岡要氏は「『ワイルズ』の劣化版と片付けられることだけは避けたかった」と語り、砂野氏も移植当初は「全然動かないね」という状態だったと振り返っています。Nintendo Lifeが伝えた仕様では、テレビ出力時は解像度優先で2240×1260/30fps、フレームレート優先で1920×1080/30fps、携帯モードでは1536×864/30fpsとされています。
カプコンにとっての含意は、もう少し広いところにあります。MT Frameworkで作られた自社タイトルは『ワールド』だけではなく、コメント欄には「だとすると『デビル メイ クライ 4』の移植も無理ということか」という指摘も出ていました。エンジン統一は開発効率を上げる一方で、旧エンジン時代の資産を新しいハードへ運ぶ道を自ら細くしていきます。その判断の合理性は理解できるのですが、3000万本を買った人たちのライブラリが世代をまたげないという結果は、やはり説明が足りていないように思います。
カプコン史上最も売れた一本が、新ハードの外側に置かれたまま年末を迎える
今回わかったのは、『モンスターハンター:ワールド』のSwitch 2版が技術的に不可能だということではありません。カプコンが「作り直しに見合わない」と判断できる位置に、この作品が置かれているということです。累計3000万本を売った作品が、エンジンを乗り換えたという社内の事情ひとつで次の世代に渡らない。『ワールド』固有の話であると同時に、8年前のゲームがどう扱われるかを示す一例でもあります。
The Gamerは辻本プロデューサーらへの完全版インタビューを後日公開するとしており、『ワールド』の扱いについてさらに踏み込んだ言葉が出てくる余地は残っています。まずは12月4日、Switch 2に届く『ワイルズ』がどこまで本編の手触りを保っているか。そこが、この判断の答え合わせになります。
いま読まれている記事

鬼滅の刃 無限城編の配信はいつから・どこで見れる?【9月20日時点】レンタルは9月16日開始、主要10サービスは配信なし

【サウジアラビア】世界唯一のドラゴンボールパーク、2026年着工。東映アニメの最大IP輸出案件が問う日本のソフトパワー戦略

【アメリカ】コナミ『メタルギア』新コレクション、海外25媒体の平均83点。18年PS3専用だった『4』がSwitch 2でも動く

【中国】映画ちいかわ 海外の反応。微博が「世界一かわいい」と歓喜、上海に海外初の旗艦店

