【韓国】アクティビジョン『CoD MW4』、梨泰院事故の実映像を削除へ。遺族の抗議から2日で謝罪

3行サマリー
- アクティビジョンは10月30日、『Call of Duty: Modern Warfare 4』の冒頭映像に使った梨泰院雑踏事故(死者159人)の実映像を、11月12日のアップデートで削除すると発表した
- 10月23日の発売から5日後に遺族団体が削除を要求し、同社は2日後に謝罪へ転じた
- Redditの元スレッドは3,000超の支持と700件超のコメントを集め、日本人2人も犠牲になった事故の扱いに議論が集まった
アクティビジョン、11月12日のアップデートで梨泰院事故の映像を削除へ
アクティビジョンは10月30日、10月23日に発売した『Call of Duty: Modern Warfare 4』(開発:Infinity Ward)のオープニング映像から、2022年の梨泰院雑踏事故を撮影した実際の報道映像を削除すると発表しました。削除は11月12日に配信予定のアップデートで行われます。
問題の映像は、北朝鮮が韓国に侵攻するという架空のストーリーの冒頭で、戦争の被害を伝えるニュース風の演出に組み込まれていました。救急隊員が倒れた人に心肺蘇生を行う場面などが映っていたとされます。
映像の長さについて、韓国メディアの多くは約3秒、NBCは約10秒と報じており、報道の間で食い違いがあります。
Korea HeraldとNBCが伝えた、謝罪と削除の決定
出典:‘Call of Duty’ publisher apologizes, says will remove Itaewon crowd crush footage(The Korea Herald / 2026年10月30日)
出典:Outcry prompts Call of Duty to cut Seoul tragedy footage(NBC News / 2026年10月30日)
We offer our deepest condolences and sincere apologies to the bereaved families, victims and everyone who has been deeply hurt or distressed by this incident.
Korea Heraldが英訳で伝えたアクティビジョンの声明です。同社は韓国の記者向けに通知を出しており、遺族と犠牲者、心を痛めたすべての人に哀悼と謝罪を表明しました。NBCによると、同社は「実際の報道映像を使ったことで、梨泰院の事故を含む悲劇を想起させたり、その苦しみを軽んじたりする意図はなかった」とも説明しています。
発売から5日、事故4周年の前日に遺族が声を上げた
抗議が表面化したのは10月28日です。10.29梨泰院惨事遺族協議会と市民団体の対策会議が共同声明を出し、実映像の使用を「極めて不適切」だと批判して削除を求めました。翌29日は事故から4年の節目にあたります。
韓国ゲーム利用者協会も、アクティビジョンに説明と謝罪、映像の差し替えを求めました。Korea TimesやInven Globalによると、同社の最初の説明は「架空の物語を伝える要素として実際のニュース映像を使った」というもので、この時点では削除を約束していませんでした。
なぜここまで反発が強かったのか。大きな理由は、舞台が韓国そのものだったことです。韓国を戦場にした作品の中で、韓国人が実際に命を落とした事故の映像が「戦争被害」として流れたため、遺族からすれば悲劇を別の物語に書き換えられた形になりました。しかも発売は4周年の追悼の直前。遺族にとっては、最もつらい時期に突きつけられた映像だったはずです。
Redditの議論は「実写を使ったこと」より「別の出来事として使ったこと」に集中
このニュースは、BBCの記事を共有したRedditのr/gamingで3,000超の支持と700件超のコメントを集めました。同じ話題はr/Gamesでも800超の支持を得ています。コメント欄では、実写映像の使用そのものより、使い方を問題視する声が目立ちました(いずれも意訳)。
- 「実際の映像を使うとは、ずいぶん思い切った選択だ」(最多の支持を集めたコメント)
- 「戦争の悲惨さを伝えるための実写なら構わない。問題は、別の出来事だと偽って使ったことだ」
- 「第二次大戦のゲームに当時の映像を使うのとは違う。現実の悲劇を、無関係の架空シナリオに流用している」
- 「初代MW2のロシアが米国に侵攻する話に、9.11の実映像を入れたらどうなるか想像してみてほしい」
- 「遺族が削除を求め、会社は削除した。対応としては正しい」
一方で、シリーズは「World at War」の頃から実写の記録映像を使ってきたと指摘する声もありました。実写の使用は以前からの手法で、今回は事故の映像を架空の戦争被害として使った点が一線を越えた。コメント欄全体では、そうした受け止めが多数派でした。
日本人2人も犠牲になった事故、実在の悲劇を「演出素材」にする線引きが問われた
梨泰院の事故では、外国人26人が犠牲になり、そのうち2人は日本人でした(ニューズウィーク日本版)。日本のプレイヤーにとっても、遠い国の出来事ではありません。
今回の件は、発売から1週間で開発元が謝罪し、削除日まで示しました。最初の説明から2日で方針を改め、日付を区切った点は誠実な対応だったと受け止めています。ただ、Redditの議論が示すとおり、争点は「実写を使うかどうか」ではなく「誰の、どんな記憶を、何として使うか」でした。リアルさを売りにする戦争ゲームが現実の映像を素材にする限り、この線引きは今後も問われ続けます。11月12日のアップデートで映像が実際に消えるかどうかも、確認が必要です。
