📊 3行サマリー
- ドラえもん劇場版45作目「のび太の海底鬼岩城(新版)」が2026年5月22日にベトナム全土で公開、初日だけで20億ドン(約7,700万円)。
- 3日間のプレビュー上映で37.5億ドン(約1.5億円)、5月22日終了時に60億ドンを超え、その後100億ドン(約5.7億円)に到達。2026年でベトナム初の外国映画100億ドン作品。
- Kim Dong出版が1996年から30年扱ってきたドラえもんの累計4,000〜5,000万部分の親世代と、夏休み入りの子どもが同時に映画館へ。日本国内ではほぼ報道されていない。
ドラえもん45作目「のび太の海底鬼岩城」、5月22日ベトナム公開で初日20億ドン突破
ベトナム国内では2026年5月22日、東宝が配給するドラえもん劇場版第45作「のび太の海底鬼岩城(新版)」が全土公開された。現地配給のCJ CGV Vietnamの集計で、初日の興収だけで20億ドン(約77万米ドル、日本円で約7,700万円)。ベトナムの単日興収としては2026年でも上位の数字に並んだ。1983年版「のび太の海底鬼岩城」のリメイクで、海底文明ムー連邦をめぐる冒険を最新の色彩とCGで描き直している。
VietnamNet:「3日プレビューで37.5億ドン、旧正月以来初の外国映画TOP3独占」
元ネタ:Doraemon’s latest film dominates Vietnamese cinemas after release(VietnamNet / 2026-05-24)/Vietnamese films fall behind as Doraemon storms the box office(VietnamNet / 2026-05-18)
The 45th Doraemon feature had already surpassed the VND60 billion mark and is forecast to hit VND100 billion ($3.85 million) early next week.
VietnamNet(2026-05-18付)は、5月22日の正式公開前に行われた3日間のプレビュー上映だけで本作が37.5億ドン(約147万米ドル)を稼いだと報じた。Box Office Vietnam(同社のランキングサイト)の集計だと、その週末のTOP3は3本とも外国映画。テト(旧正月)映画シーズン以来初の事態だった。2位はタイ映画『Goodbye Gohan』(11億ドン)、3位は韓国ホラー『Korean Mudang』(8億ドン)。ベトナム映画の主要新作は、Quoc Truong主演『Mot thoi ta da yeu』が10位(10億ドン)、Ngoc Trinh主演『Tham my vien am phu』が13位という結果に終わっている。
1983年版を見た親世代のノスタルジア×夏休み突入が同時に直撃
VietnamNetの取材だと、客が入った要因はリメイクとしてのノスタルジアと、5月下旬に小中学校の終業が重なったタイミングの二つが大きい。1983年の旧作はベトナムでも90年代以降にビデオ・テレビ放送・海賊版コミックスを経て広く流通し、いま20代後半から40代前半になっている親世代が、子どものころ一度は触れている題材だった。
背景にはKim Dong出版が1996年からシン・エイ動画と藤子プロのライセンスを取り続けてきたコミック流通の厚みがある。Doraemon Wikiが集計する数字では、2006年時点でKim Dongが扱ったドラえもんのベトナム語版は4,000万〜5,000万部。当時のベトナム出版史では外国漫画の最高記録だった。それから20年経って、当時読んでいた子どもがいまは親世代になり、自分の子にKim Dong版のドラえもんを渡す循環が続いている。映画館での親子層の集中は、その長期の文化資産が興収に直接変換された結果と読める。
日本ではほぼ報道されない、東南アジアでのドラえもん市場の実像
日本国内のメディア検索だと、本作のベトナム興行収入はNHK・読売・朝日のいずれにも記事として現れない。ベトナムが日本の45作目を1年遅れで公開していること、その45作目が現地で年間初の100億ドン映画になっていることは、日本のアニメ業界レポートでも統計表の中に沈むのが通例だ。
ただ、海外向けドラえもん劇場版がベトナム市場で20億ドン級の単日収入を出すという事実は、日本側からはほぼ見えていない海外興行の太さを露わにしている。Box Office Vietnamの2026年集計で、年間100億ドンを越えた最初の外国映画がドラえもんだったというのは、ベトナムでこのIPが30年積み上げてきた歴史を抜きには説明できない結果だ。
30年積んだKim Dong版の流通網が、ついに100億ドン興収に変換された
今回のヒットが示しているのは、Kim Dong版の30年がかりのコミック流通と、年に1本の劇場版の供給が積み重なって、ベトナム映画市場の100億ドン作品をついに日本IPで作るところまで来たという段階の話だ。日本側からはほぼ見えていない海外市場の足腰の厚みが、地元映画を10位以下に押し下げる規模で表面化した、それが今回の事例。


