【サウジアラビア】永井豪の『グレンダイザー』、サウジ資本のリメイク続編が2026年放送へ。フランスで国民的人気、日本では未放送の名作
3行サマリー
- 永井豪の1975年ロボットアニメ『グレンダイザー』のリメイク『グレンダイザーU』の続編(第2期)が、2026年に放送予定。制作はサウジアラビアのマンガプロダクションズ。
- 第1期(2024年)の作画はGAINA、第2期はTMSエンタテインメントに交代。首都リヤドには全高33mの実物大像が立ち、フィクションのキャラクター金属像として世界最大とギネス世界記録に認定されている。
- フランスでは1978年の放送時に「ゴルドラック」として視聴率100%の社会現象になった。原作者は日本人の永井豪だが、この新シリーズは「日本以外の世界」向けで、本家の日本では未放送のままだ。
サウジ企業マンガプロダクションズ製『グレンダイザーU』、続編が2026年に始動
サウジアラビアの制作会社マンガプロダクションズが手がけたロボットアニメ『グレンダイザーU』の第2期が、2026年に放送される。第1期は2024年7月から9月まで放送され、アラビア語・フランス語・イタリア語・英語の4言語で世界に展開された。原作は永井豪が1975年に世に出した『UFOロボ グレンダイザー』で、実に40年ぶりの本格リメイクとなる。第2期からは作画を担うスタジオがGAINAからTMSエンタテインメントへ替わる。日本発の巨大ロボットが、日本の外で「もう一度」動き出す形だ。
原作は永井豪の1975年作、日本以外の世界展開権はダイナミック企画が供与
元ネタ:Manga Productions Launches “Grendizer U” in July and Saudi Arabia Appears in the New Series(Manga Productions公式 / 2024年4月30日発表)
We at Manga Productions, in collaboration with our partners in Japan, are pleased to introduce the character of Grendizer to future generations in a new and exciting way.
2022年、永井豪が率いるダイナミック企画とマンガプロダクションズのあいだで戦略的提携が結ばれた。グレンダイザーを「日本を除く世界」で製品・キャラクター・都市・イベントに使う権利をサウジ側が得る、という内容だ。総監督は『ガンダムSEED』の福田己津央、キャラクターデザインは『エヴァンゲリオン』の貞本義行、音楽は田中公平と、日本の第一線のスタッフが名を連ねる。原作者も制作の中枢も日本人でありながら、完成した作品が日本国内では観られないという、ねじれた構造になっている。
フランスでは1978年「ゴルドラック」が視聴率100%、アニメ文化の入口になった
グレンダイザーが「海外の名作」であることには、はっきりした裏づけがある。1978年、フランスのテレビ局アンテンヌ2の子ども番組枠「Récré A2」で放送が始まると、放送時間帯の視聴シェアが100%に達したと記録されている。玩具・コミック・ポスターが飛ぶように売れ、教育者や政治家まで巻き込む論争になった。多くのフランス人にとって、これが日本アニメとの初めての出会いであり、のちの『ドラゴンボールZ』『聖闘士星矢』『NARUTO』へと続くアニメ受容の土台をつくった。中東でも同様に世代を超えて愛され、サウジがリヤドに建てた全高33mの像がギネス世界記録に載ったのは、この地域での人気の深さを物語っている。
サウジ描写の多さに海外ファンが反発、「金でグレンダイザーを私物化」との声
一方で、第1期には批判もついて回った。作中にサウジアラビアの風景が繰り返し登場することに対し、欧州や中東のファンの一部から「サウジが資金力でグレンダイザーを私物化している」との反発が起き、海外のレビューサイトでは低評価を投じる動きも見られた。原作へのオマージュは随所にあり、作品そのものの出来を問題視する声ばかりではないが、「誰の作品なのか」「どの国の物語として描かれるのか」という問いは、IPを他国の資本が運用するときに避けて通れない論点として残った。
本家日本では未放送のまま、40年ぶり復活が問う日本アニメIPの海外運用
日本人にとって、この一件はやや複雑な後味を残す。自国生まれのロボットアニメが、海外では国民的な記憶として生き続け、その復活は日本の外の資本によって実現し、しかも国内では観る手段がない。日本のコンテンツが海外で稼ぐ「ソフトパワー」の成功例と見ることもできれば、原作を持つ側が海外運用の主導権を手放した例と見ることもできる。ドラゴンボールのテーマパークをサウジが建てる話と同じく、日本のIPが「世界の資産」になっていく流れのなかで、制作会社を替えてまで続く『グレンダイザーU』第2期は、その流れを地で行く一本だ。
制作会社を替えてでも続く続編は、日本発ロボットの「世界資産化」を映す
第1期の反響を受けて第2期が制作され、作画スタジオまで交代して世界向けに供給が続く。この事実だけを見ても、グレンダイザーというブランドが今なお海外で強い需要を持っていることがわかる。原作は日本、人気は海外、運用はサウジ、そして本家では未放送。この四つのねじれをどう受け止めるかは人それぞれだが、少なくとも「日本のアニメは日本のもの」という前提が、もう当たり前ではなくなっていることは確かだ。
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