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【アメリカ】ウルトラマンの権利を円谷プロと争ったタイ人プロデューサーの遺品321点が全部落札。成田亨のウルトラセブン原画は予想の11倍

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Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【アメリカ】ウルトラマンの権利を円谷プロと争ったタイ人プロデューサーの遺品321点が全部落札。成田亨のウルトラセブン原画は予想の11倍

3行サマリー

  • ジュリアンズ・オークションが9月23日にロサンゼルスで開いた「Kaiju King」で、出品された321ロットすべてに落札価格が付きました(落札率100%)。
  • 最高額は成田亨が描いた『ウルトラセブン』の原画で7万6800ドル。事前の予想価格は5000〜7000ドルでした。
  • 成田亨名義の15点だけで26万2080ドルに達し、当サイトが全321ロットを合算した落札額(約77万8681ドル)のおよそ3分の1を占めています。

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Seriesソムポート・センズ遺品コレクション競売全2本

ウルトラマンの権利を円谷プロと争ったソムポート・センズ氏の遺品コレクションが競売にかけられるまでと、その結果を追う連載。

  1. 2026/8/29【アメリカ】ウルトラマンの権利を円谷プロと30年争ったタイ人監督、遺品300点超が9月23日に競売。成田亨の原画は推定1万〜2万ドル
  2. 2026/9/25【アメリカ】ウルトラマンの権利を円谷プロと争ったタイ人プロデューサーの遺品321点が全部落札。成田亨のウルトラセブン原画は予想の11倍(この記事)

ソムポート・センズ氏の遺品321点は一点残らず売れ、最高額は成田亨のウルトラセブン原画だった

ウルトラマンの海外での権利をめぐって円谷プロダクションと長く争ったタイの映画プロデューサー、ソムポート・センズ(Sompote Saengduenchai/Sompote Sands)氏のコレクションが、現地時間2026年9月23日午前10時、ロサンゼルスのジュリアンズ・オークションで競売にかけられました。日本時間では9月24日の未明にあたります。セール名は「Kaiju King: The Sompote Sands Legacy Collection」。

公式サイトの出品一覧を確認したところ、321ロットすべてに「Sold Price」が表示されていて、売れ残りは一つもありませんでした。最高額は Lot 96、成田亨が描いた『ウルトラセブン』の原画で7万6800ドル。予想価格が5000〜7000ドルでしたから、下限のおよそ11倍で落ちた計算になります。

上位の顔ぶれは次のとおりです。いずれも公式サイトに表示された金額をそのまま拾いました。

  • Lot 96 成田亨『ウルトラセブン』原画 7万6800ドル(予想5000〜7000ドル)
  • Lot 56 『ハヌマーンと5人の仮面ライダー』ポスター原画 3万5200ドル(予想800〜1000ドル)
  • Lot 94 成田亨『レッドキング』原画 3万2000ドル(予想5000〜7000ドル)
  • Lot 308 コマ・カメラのレンズ6本 2万8800ドル(予想800〜1200ドル)
  • Lot 78 『ジャンボーグA&ジャイアント』ポスター原画 2万2400ドル(予想800〜1000ドル)
  • Lot 104 成田亨『ザラブ星人・メフィラス星人・バルタン星人・ケムール人』原画 2万2400ドル(予想5000〜7000ドル)

ウルトラマン関連では、Lot 127のウルトラマンレオの実使用マスクが1万1520ドル(予想3000〜5000ドル)、Lot 32の『ハヌマーンと7人のウルトラマン』で使われたウルトラマンタロウのプロダクションマスクが8960ドル、Lot 106の成田亨による1966年のウルトラマン・マスク試作2点が7680ドル。一方、Lot 92の成田亨『ウルトラマン』3-D原画は1万6000ドルでした。予想(1万〜2万ドル)の範囲には収まったものの、上位ロットの中で予想を大きく超えなかったのはこの1点だけです。

Julien’s Auctions 公式ページ:321ロットすべてに「Sold Price」が並んだ

出典:Kaiju King: The Sompote Sands Legacy Collection(Julien’s Auctions / 2026年9月23日)

Lot 96 — Tohl Narita | Original “Ultraseven” Painting / Sold Price: $76,800(Estimate: $5,000 – $7,000)

ここで一点、断っておきたいことがあります。ジュリアンズ・オークションは、このセールの総額を公表していません。本記事に出てくる「約77万8681ドル」は、公式サイトに表示された321ロットの落札価格を当サイトが合算した数字です。同じやり方で予想価格の下限も合計すると23万9200ドルになり、落札額はその3.3倍ほどにあたります。落札価格の中央値は640ドル、1万ドルを超えたのは16ロットでした。

手数料の扱いについても、公式表記は「Sold Price」とあるだけで、購入者が支払う手数料(バイヤーズプレミアム)を含むかどうかの説明はありません。7万6800ドルが6万ドルの1.28倍、3万5200ドルが2万7500ドルの1.28倍にあたるなど、同じ係数で割り切れる金額が目立つことから手数料込みの表示とみられますが、一次ソースに明示された情報ではないため、そう読める、という以上のことは言えません。

事前入札の最高は1250ドルだった。1か月で桁がふたつ動いた

このセールについては、開催が発表された8月29日の時点で一度取り上げています。そのとき公式サイトで確認できた事前入札は、冒頭24ロットのうち14ロットに入っている程度。最も高いもので『キングコング対ゴジラ』の台本に付いた1250ドル、次いで黒澤明らの署名入りポスターが1000ドル、ソフビのゴジラ4体組が150ドルという状況でした。

その1か月後に、上位ロットは2万ドル、3万ドル、7万ドルという桁に届いています。事前入札は開札前の下限を示すものでしかないので、この差そのものは珍しくありません。それでも、予想価格を10倍前後で上回ったロットが成田亨の原画に集中している点は、単なる相場の過熱とは別の動きに見えました。

もうひとつ目を引いたのが、ウルトラマン以外の出品にも高値が付いたことです。『ハヌマーンと5人の仮面ライダー』と『ジャンボーグA&ジャイアント』のポスター原画は、どちらも予想800〜1000ドルに対して2万ドル台で落ちました。この2本はいずれもソムポート氏が日本側と組んで作ったタイ・日本合作で、現存する資料が極端に少ない作品です。ウルトラマン本体よりも、その周辺にあった「記録の少ない合作」のほうが高く評価された、という結果になりました。

売られたのは「モノ」だけで、ウルトラマンの海外権利は5月14日の東京地裁判決で円谷プロ側に確定している

日本から見たとき、この競売でいちばん誤解されやすいのはここだと思います。今回売られたのは物理的なコレクションであって、ウルトラマンの権利ではありません。ウルトラマンの海外利用をめぐる争いは、2026年5月14日の東京地裁判決で円谷プロダクション側の主張が認められる形で決着しています。落札者が手にしたのは原画やマスクといった現物で、それを使って何かを商業展開できる立場を得たわけではありません。

争いの発端は、ソムポート氏が1976年付の契約書をもとに海外での権利を主張したことにありました。円谷プロ側はこの契約書を偽造されたものだと主張し、日本・タイ・中国・アメリカで数十年にわたって訴訟が続いてきました。当事者の主張が真っ向から対立してきた部分なので、どちらの言い分も「そう主張してきた」という形でしか書けません。確定しているのは判決の結論のほうです。

その前提で今回の結果を並べると、少し皮肉な構図が浮かび上がります。「ウルトラマンを作ったのは誰か」を30年以上争った人物の遺品競売で、最高額が付いたのは、争いの当事者ではない成田亨の手描き原画でした。成田亨名義の15点は合計26万2080ドル。当サイト集計の落札額全体のおよそ34%を、321点のうちたった15点が占めています。ウルトラマン・ウルトラセブン・ウルトラQ・円谷の名を冠するロットは126点あり、その合計は約34万6161ドル。金額で見ると、ウルトラマン関連の大半は成田亨の原画が押し上げていることになります。

成田亨は初代『ウルトラマン』とウルトラセブン、そして初期の怪獣群のデザインを手がけた美術家です。日本国内では青森県立美術館に代表作がまとまっていて、作品の評価はすでに確立しています。その原画が、権利紛争の相手方の手元から米国の競売に出て、予想の10倍前後で流れていった。残ったのはその事実だけでした。

英語圏の特撮メディアはまだ結果を報じていない。r/Ultraman の告知スレは69票で止まっている

結果が出てから1日以上たちますが、英語圏の反応は今のところ静かです。日本時間9月25日8時台に確認した範囲では、Tokusatsu Network、SciFi Japan、Bloody Disgusting、The Hollywood Reporter、Artnet のいずれにも落札結果を報じた記事は見当たりませんでした。各媒体が8月に出した開催告知は残っているものの、その先が続いていません。ジュリアンズ・オークション自身も、結果についてのプレスリリースは出していないようです。

コミュニティ側も同じでした。r/Ultraman に立った開催告知のスレッドは、日本時間9月25日8時6分の時点で69票・コメント10件。当サイトが8月29日に同じスレッドを見たときは45票・コメント6件だったので、1か月弱でわずかに伸びた程度です。r/GODZILLA に立った「Kaiju King: The Sompote Sands Legacy Collection」のスレッドは2票・コメント18件で、票は伸びないまま議論だけが続いている形でした。落札結果そのものに言及した投稿は、r/Ultraman・r/kaiju・r/tokusatsu のいずれにも確認できませんでした。

特撮の海外コミュニティは、新作の配信や映像の話題には数百票が入る一方で、オークションのような一次資料の売買には反応が薄い傾向があります。今回もそのとおりでした。成田亨の原画が7万6800ドルで落ちたという情報は、英語圏ではまだほとんど誰の目にも触れていない状態に近い、ということになります。

なお、今回の競売について円谷プロダクションが何かコメントを出したかどうかは、日本語・英語のいずれでも確認できていません。出していない、と断定できるだけの材料はない、という段階です。

権利を争った男の名ではなく、ウルトラマンを描いた男の名に最高額が付いた

このセールの結果を一行でまとめるなら、市場は「誰がウルトラマンを所有しているか」ではなく「誰がウルトラマンを描いたか」に値段を付けた、ということになります。321点が一点残らず売れ、そのうち成田亨の15点が落札額の3分の1を持っていきました。

ソムポート氏が生涯をかけて主張した権利のほうは、5月の東京地裁判決ですでに決着しています。残った現物が海を渡って散り、そこで最も高く評価されたのが日本人デザイナーの手描き原画だった。30年以上続いた争いの幕切れとしては、ずいぶん静かだったと受け止めました。

気がかりなのは行き先のほうです。成田亨の原画15点が今後どこに収まるのかは公表されておらず、国内の美術館に戻る道筋も今のところ見えていません。落札者が明らかになるか、日本側から買い戻しの動きが出るか。ここは続けて確認していきます。

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Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。