📊 3行サマリー
- インドがeスポーツ代表24人を、9月19日開幕の愛知・名古屋アジア大会に送り込む。正式種目は11、そのうち5つが日本生まれのゲームだ。
- 代表入りしたグランツーリスモ7の選手はまだ15歳。ストリートファイター6と鉄拳8でも個人枠が決まった。
- つまり、人口14億のインドが国を背負って戦う舞台の半分は、日本のゲームがつくっている。
📝 インドがeスポーツ代表24人を名古屋へ。種目の5つは日本生まれ
9月19日から10月4日まで、愛知・名古屋でアジア大会が開かれる。そのeスポーツ部門に、インドが24人の代表団を送る。WIONなどインドの複数メディアが6月中旬に相次いで報じた。前回の杭州大会(2023年)に続く2度目の本格参戦で、選手層も顔ぶれもかなり厚くなっている。
面白いのは種目の中身だ。今大会のeスポーツ正式種目は11。そのうちストリートファイター6、グランツーリスモ7、ポケモンユナイト、eFootball、ぷよぷよチャンピオンズの5つが、日本の会社が生んだゲームだ。残りはリーグ・オブ・レジェンドや王者栄耀(Honor of Kings)など欧米・中国勢が占める。インド代表が国の名前を背負って戦う相手の半分が、日本のタイトルというわけだ。
📰 WION報道:S8ULのリーグ・オブ・レジェンド代表が地域予選を突破
元ネタ:Asian Games 2026 | S8UL Esports League of Legends qualifies to represent India(WION / 2026-06-17)
S8UL Esports’ League of Legends roster has officially qualified to represent India at the Asian Games 2026, set to take place in Aichi-Nagoya, Japan, from September 19 to October 4.
記事によると、地域予選は14チームが2段階で争う方式だった。インドのリーグ・オブ・レジェンド代表はグループBでヨルダン・スリランカ・カザフスタンを破って首位通過。続くステージではベトナム・香港・サウジアラビアに敗れたものの、本大会の切符はしっかり手にした。チームを率いるのはKat Botことアクシャジ・シェノイ。前回の杭州大会で5位に入ったメンバーが中心で、本人も「多くの選手にとって2度目のアジア大会になる」と語っている。
🔥 11種目のうち5つが日本のゲーム。15歳のグランツーリスモ王者も
インド代表の主役は団体戦のチームだけではない。インド国内予選(NESC 2026)を勝ち抜いた個人勢の中に、グランツーリスモ7王者の15歳、アブドゥス・サラーム・モハメドがいる。代表団でも最年少クラスだ。格闘ゲームでも、鉄拳8でグラシシュ・シン、ストリートファイター6でプラティーク・バウントがそれぞれ代表入りを決めた。いずれもインドのeスポーツ組織S8UL所属で、自国の若い才能を国際舞台に押し上げる流れができつつある。
背景には、インドのゲーム市場そのものの伸びがある。各種の市場調査では、インドのゲーム人口は世界でも有数の規模に育ち、2026年前後を一つの転換点と見る声が多い。その勢いが、国を代表する選手の層の厚さにそのまま表れている。日本のメーカーからすれば、自社のタイトルが新興大国の代表選考の舞台で使われている格好だ。
🇯🇵 日本のゲームが、インド代表の主戦場になっている
この話が日本にとって他人事でないのは、舞台が二重に日本とつながっているからだ。一つは開催地。アジア大会そのものが愛知・名古屋で行われ、インドの代表団は日本に乗り込んでくる。もう一つが種目で、すでに見たとおり11種目の半分近くが日本生まれのゲームだ。カプコンのストリートファイター6、ソニーのグランツーリスモ7、コナミのeFootball、セガのぷよぷよ、そしてポケモン。日本の家庭で何十年も遊ばれてきたタイトルが、インドの若者にとっては「国のために勝ちにいく競技」になっている。
日本国内では、eスポーツはまだ「遊び」と「競技」の間で立ち位置が定まりきっていない。一方でインドは、国の代表を選び、世界大会に送り込む仕組みを着々と整えている。同じ日本のゲームを、片方は娯楽として、もう片方は国を背負う種目として扱っている。この温度差を見ると、自分たちが遊んできた作品が海を渡った先で何になったのか、急に解像度が上がる。
🏁 名古屋で問われるのは、日本のゲームがどこまで世界の競技になれるか
インド代表24人の名古屋行きは、単なる一国の遠征の話にとどまらない。日本生まれのゲームが、生まれた国の外でどこまで「スポーツ」として根を張れるか。その答え合わせが、9月に日本のホームで行われる。自分たちがつくったタイトルで他国の代表が真剣勝負を繰り広げる光景を、日本のファンはどう受け止めるのか。秋の名古屋は、それを確かめる場所になる。


