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【アメリカ】亀仙人とバギーの英語版声優が死去。英語版Wikipediaの閲覧は平常の1,188倍、日本語のニュース検索では出てこない

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【アメリカ】亀仙人とバギーの英語版声優が死去。英語版Wikipediaの閲覧は平常の1,188倍、日本語のニュース検索では出てこない

3行サマリー

  • 英語版『ドラゴンボール』の亀仙人と『ONE PIECE』のバギーを演じた米国の声優マイク・マクファーランドさんが、56歳で亡くなりました。クランチロールが追悼のコメントを出しています。
  • 英語版Wikipediaの本人ページは9月10日だけで15万1,390回読まれました。直前7日間の平均は1日127回です。
  • 同じ日、日本語版Wikipedia「亀仙人」の閲覧は132回。平常の131回とほとんど変わらず、Googleニュース日本版では日本語の記事が見つかりませんでした。

マイク・マクファーランドさん、56歳で死去。1997年から英語版の亀仙人とバギーを演じた

米国の声優・ADRディレクターのマイク・マクファーランドさんが、脳腫瘍のため56歳で亡くなりました。訃報が広く伝わったのは現地時間の9月10日です。日本のアニメの英語吹き替えで、『ドラゴンボール』『ドラゴンボールZ』の亀仙人とヤジロベー、『ONE PIECE』のバギーを長く担当してきた人でした。

TheWrapによると、担当はそれだけではありません。『進撃の巨人』のジャン・キルシュタイン、『鋼の錬金術師』のジャン・ハボック、『PSYCHO-PASS』の須郷徹平、『鬼滅の刃』の鉄地河原鉄珍。ジャン違いの2人を同じ人が演じていたというのは、言われるまで気づきませんでした。1997年にファニメーションに採用されたのが出発点で、その後は演者としてだけでなく、ADRディレクターや脚本編集としても数多くの作品に関わっています。

日本語版Wikipediaに、この人の記事はありません。英語版からの言語間リンクも中央クルド語・イタリア語・ヴォラピュクの3つだけで、日本語は含まれていませんでした(2026年9月11日14時台 JST 時点)。

TheWrapとDeadlineの報道。クランチロールは「あまりに惜しまれる」とコメントした

出典Mike McFarland, ‘Dragon Ball Z’ and ‘One Piece’ Voice Actor, Dies at 56(TheWrap / 2026年9月10日)

出典Mike McFarland Dies: ‘One Piece’, ‘Dragon Ball Z’ Voice Actor Was 56(Deadline / 2026年9月10日)

Mike McFarland, who lent his voice to many classic anime, died Wednesday after a battle with brain cancer. He was 56.

クランチロールは「マイクは、彼を知る私たち全員に、そして彼の仕事を知るアニメファン全員に、本当に多くのものを与えてくれました」「並外れた才能で、私たちの多くにとって良い友人でした。あまりに、あまりに惜しまれます」というコメントを出しました。TheWrapによれば、彼は数年前に脳腫瘍と診断され、2025年8月には同業の声優J・マイケル・テイタムさんとブランドン・マッキニスさんが、手術後の在宅介助の費用を集めるためGoFundMeを立ち上げていました。

なお、亡くなった日付は媒体で割れました。Deadlineは「9月10日に亡くなった」と書き、TheWrapは「水曜日に亡くなった」(記事の公開が10日の木曜なので、現地では9日)としています。どちらも報道ベースなので、両方をそのまま残しておきます。

英語版Wikipediaは1日で15万1,390回。日本語版「亀仙人」は132回のままだった

訃報がどこまで届いたのかを、Wikimediaの公式Pageviews APIで測りました。閲覧数は1日遅れで確定するので、9月10日分が現時点で取れる最新の値です(取得は2026年9月11日14時台 JST)。

ページ9月3〜9日の平均9月10日倍率
英語版「Mike McFarland」127.4回/日15万1,390回1,188倍
英語版「Master Roshi」(亀仙人)167.1回/日4,059回24.3倍
日本語版「亀仙人」131.4回/日132回1.0倍

英語版の本人ページは、前日まで1日100回台だったものが一気に15万回を超えました。連動して、彼が演じたキャラクターの英語版ページ「Master Roshi」も24倍に跳ねています。訃報を読んだ人が「この声は誰だったのか」を確かめに行った動きが、そのまま数字に出た形です。

一方で、日本語版の「亀仙人」は132回。前の週の平均が131.4回ですから、動いていないと言っていい水準です。同じキャラクターのページなのに、言語をまたいだ瞬間に反応が消えます。

Redditで票が集まったのはr/dbzではなくr/OnePiece。7,432票と494票の差

ファンの側の反応も、自分たちで数えてみました。Redditの検索APIで「McFarland」を4つのコミュニティに絞って引き、直近1か月に投稿されたものを集計しています(2026年9月11日14時台 JST 取得)。検索が返した範囲での集計なので、すべての投稿を網羅しているわけではない点はお断りしておきます。

コミュニティ登録者数投稿数合計票登録者100万人あたり
r/OnePiece532万人11本7,432票1,396票
r/anime1,441万人1本2,665票185票
r/dbz234万人2本494票211票
r/dragonball17.5万人2本151票862票

日本の媒体がこの人を紹介するとしたら、まず「英語版の亀仙人」と書くはずです。ところが票の集まり方は逆で、ドラゴンボール系の2つのコミュニティを足しても645票、『ONE PIECE』側はその11倍を超えていました。登録者数という母数をそろえても、r/OnePieceはr/dbzの6.6倍です。海外では、彼はまず「バギーの声」だったことになります。

最も票を集めたのはr/OnePieceの追悼スレッドで、3,863票・コメント84件・支持率99%(日本時間9月10日16時ごろの投稿)。その最上位コメント(411票)は、ダラスで開かれたイベントでバギーの扮装をした本人に会った、という思い出でした。75票を集めたコメントは、彼が現行の英語吹き替え版で最初のADRディレクターを務めたことに触れ、西側でのこの作品の歴史にとって重要な人だったと書いています。ほかの投稿も追悼とファンアートが中心で、票の向きはきれいにそろっていました。

身元がはっきりしている発信者からの言葉も出ています。声優のJ・マイケル・テイタムさんは自身のXで「20年以上の親友であり師でもあったマイクが逝ってしまった」と投稿し、同じく声優のクリフォード・チェイピンさんも「言いたいことがたくさんあるのに、言葉がどれも手の届かないところにある」と書きました。

日本語のニュース検索では、4つのクエリのどれも訃報にたどり着かない

では日本側はどうだったのか。Googleニュース日本版で4つのクエリを引いてみました(2026年9月11日14時台 JST)。

  • 「マクファーランド」……出てきたのはラグビーのコーチ、ミュージシャンの共作、Fyre Festivalの主催者、ディズニー映画『マクファーランド』。今回の訃報はありませんでした。
  • 「マイク・マクファーランド」……同名の別人と、2011年の映画情報ページ。
  • 「亀仙人 英語版 声優」……「表示できる項目はありません。」の1行だけ。
  • 「ドラゴンボール 英語版 声優 死去」……鳥山明さん、鶴ひろみさん、青野武さんの過去記事が並びました。

Googleニュースに載っていないことは、日本語でまったく触れられていないことと同じではありません。個人のXやファンサイトでは話題になっているはずですし、この先に記事が出る可能性もあります。それでも報道の流通という意味では、現時点で日本語の受け皿がほぼないというのが、観測できた事実です。

日本の作品が英語で話しはじめる場所に、名前の載らない人たちがいる

英語吹き替えは、日本のアニメが海外へ出ていくときの最初の翻訳装置です。声の演技だけでなく、ADRディレクターが台詞の尺と間を作り直し、脚本編集が言い回しを英語の呼吸に合わせる。マクファーランドさんは1997年から、その3つを全部やってきた人でした。今回の数字は、その仕事に対して英語圏がどれだけの実感を持っていたかを示しています。15万回という閲覧は、誰かが亡くなっただけでは出ません。名前を知らなかった人までが調べに行って、はじめて届く数字です。

日本側から見えないのは、たぶん悪意でも軽視でもなく、単に名簿が別だからだと思います。日本語版の声優一覧に、英語版のキャストは載りません。海外の反応を追っていると、こういう「向こうにしかない名簿」に何度もぶつかります。作品は同じでも、誰の仕事として記憶されているかは言語ごとに違う。その落差が今回は、Wikipediaの閲覧数とRedditの票数という形ではっきり数字に出ました。

亀仙人の声を探しに来た15万人のうち、日本語で検索した人はほとんどいません。それを寂しいと言ってしまうと簡単すぎる気もしますが、日本の作品の海外での顔を作ってきた人がいたことは、こちら側でも数字と一緒に残しておきたいと思いました。

※本記事の観測値(Wikipediaの閲覧数、Redditの投票数とコメント数)は、いずれも2026年9月11日14時台(JST)にVelleity Noteが公開APIから取得したものです。閲覧数は9月10日分が最新の確定値です。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。

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