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【ブラジル】ドラゴンボール人造人間17号のブラジル版声優、60歳で死去。甥は鬼滅タンジロウ役、一家で支えた日本アニメ吹替

編集部
Velleity Note 編集部Overseas Reception, Read Straight
公開 2026/07/01
最終更新 2026/07/01
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【ブラジル】ドラゴンボール人造人間17号のブラジル版声優、60歳で死去。甥は鬼滅タンジロウ役、一家で支えた日本アニメ吹替

3行サマリー

  • 『ドラゴンボール』の人造人間17号などを演じたブラジルの声優フィゲイラ・ジュニオールが6月26日、60歳でサンパウロで亡くなった。
  • 1987年デビューで吹替歴は約40年。ドラゴンボール、鋼の錬金術師、遊戯王、NARUTO、犬夜叉、ジョジョなど日本アニメ十数作の声を担当した。
  • 甥のダニエル・フィゲイラは『鬼滅の刃』竈門炭治郎のブラジル版声優。叔父と甥の2世代で、ブラジルの日本アニメ受容を声から支えてきた。

人造人間17号とフライの声、フィゲイラ・ジュニオールが60歳で死去

ブラジルの声優フィゲイラ・ジュニオールが、2026年6月26日にサンパウロで亡くなった。60歳だった。1966年1月1日にサンパウロで生まれ、1987年に老舗スタジオ「Álamo」で吹替の世界に入ってから、約40年のキャリアを重ねた人物だ。死因は家族から公表されていない。

ブラジルの視聴者にとって、彼の名前は2人のキャラクターと強く結びついている。『フューチュラマ』の宅配ピザ配達員フライと、『ドラゴンボールZ』『ドラゴンボール超』の人造人間17号だ。どちらもブラジルのアニメファン何世代にもまたがって聴かれてきた声で、彼の訃報は週末のあいだSNSで吹替関係者やファンの追悼が続く事態になった。

ブルマ役タニア・ガイダルジの追悼が明かした、最後の写真は17号のTシャツ

訃報を最初に伝えたのは、『ドラゴンボール』でブルマを長年演じてきた声優タニア・ガイダルジだった。彼女はその数日前、心臓の手術を控えて入院していた病院に、フィゲイラ・ジュニオールが見舞いに来てくれたと明かしている。その日に2人で撮った写真で、彼は人造人間17号のTシャツを着ており、彼女はブルマのTシャツを着ていた。「なぜ彼に神様の仙豆をあげなかったのだろう」という彼女の言葉は、作品の中で死者すら蘇らせる仙豆になぞらえた、吹替仲間ならではの悼み方だった。

元ネタMorre Figueira Júnior, dublador de “Dragon Ball” e “Futurama”(CNN Brasil / 2026年6月27日)

多くの人の人生に刻まれたキャラクターたちとともに、フィゲイラは『フューチュラマ』や『ドラゴンボール』といった作品の中で、その声によって永遠の存在になる。

ブラジル吹替協会(ABRADUB)や、業界の地位向上を訴える団体「Dublagem Viva」も追悼の声明を出した。ブルマ役のガイダルジに加え、声優のファチマ・ノヤも哀悼を投稿しており、現地の反応は個人ファンより先に、同じ現場で働いてきた声優コミュニティから広がっていった。

1987年デビューから約40年、ドラゴンボールZがブラジルで社会現象になった声

フィゲイラ・ジュニオールが担当したのは、フライと人造人間17号だけではない。『ゲットバッカーズ』の風鳥院花月、『鋼の錬金術師』とその『FULLMETAL ALCHEMIST』のケイン・フュリー、『遊☆戯☆王』のシャーディー、さらに『NARUTO』『犬夜叉』『ジョジョの奇妙な冒険』など、日本アニメ十数作に名前を残している。1990年代から2000年代にかけて、ブラジルで放送・販売された日本アニメの吹替現場に、彼は常にいた。

これは個人の経歴という以上の意味を持つ。ブラジルで日本アニメが定着した1990年代、『ドラゴンボールZ』はテレビで社会現象と呼べる人気になった。当時のブラジルの子どもたちが孫悟空やベジータ、人造人間17号と出会ったのは、原語の日本語ではなくポルトガル語の吹替を通してだった。つまり彼らの記憶に残っているのは、鳥山明が描いたキャラクターであると同時に、フィゲイラ・ジュニオールたちが与えた声でもある。

ブラジルの日本アニメ愛は吹替の声が土台、字幕中心の日本との違い

日本の視聴者にとって、この訃報は「自分ごと」になりにくいかもしれない。日本ではアニメは原語で観るのが当たり前で、声優は最初から作品の一部だ。だがブラジルでは事情が違う。テレビ放送が吹替中心だった国では、海外作品はまず「自国の声」に置き換えられて広まる。日本アニメがブラジルでこれほど深く根づいた背景には、その声を作り続けた吹替業界の蓄積がある。

言い換えれば、ブラジルの「日本アニメ愛」は、日本から完成品が届いただけで生まれたものではない。現地の声優が悟空に、17号に、炭治郎にポルトガル語の声を与え、子ども番組の枠で何度も再放送されることで世代をまたいで受け継がれてきた。フィゲイラ・ジュニオールの死が現地で大きく報じられるのは、彼が「日本アニメをブラジルのものとして届けた」中核世代だったからだ。日本の作品が海外でどう受容されるかを考えるとき、現地の吹替文化を抜きには語れない。

甥は鬼滅タンジロウ役、声優一家が継ぐブラジル日本アニメの30年

おもしろいのは、この継承が一家の中でも起きていることだ。フィゲイラ・ジュニオールの甥ダニエル・フィゲイラは、『鬼滅の刃』の竈門炭治郎のブラジル版声優を務めている。叔父が『ドラゴンボールZ』でブラジルの日本アニメ受容を築いた1990年代から、甥が『鬼滅の刃』でその最前線に立つ現在まで、同じ一家が30年以上にわたってブラジルの吹替の中核にいることになる。同じ家族から2世代の名前が業界の中心に並ぶのは、ブラジルでも珍しい。

フィゲイラ・ジュニオールは声優であると同時に、吹替の演出家でもあり、後進を育てる教師でもあった。彼が亡くなって失われたのは1人の声ではなく、ブラジルにおける日本アニメ受容の「最初の世代の記憶」そのものに近い。日本から見れば、自国のコンテンツが遠いブラジルでどう愛されてきたかを、訃報という形で逆に教えられた。

編集部
Velleity Note 編集部
Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。