2026年9月4日 海外メディアとファンの愛を、脚色なしで日本語に @VelleityNote
Home/アニメ・コミックス/HUNTER×HUNTER 味全ドラゴンズ主題日/【台湾】プロ野球の球場が『HUNTER×HUNTER』ハンター試験の会場に。ゴン役の潘めぐみさんが8月29日に始球式

【台湾】プロ野球の球場が『HUNTER×HUNTER』ハンター試験の会場に。ゴン役の潘めぐみさんが8月29日に始球式

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
公開
最終更新
現地の一次ソースで確認 約7分で読めます
【台湾】プロ野球の球場が『HUNTER×HUNTER』ハンター試験の会場に。ゴン役の潘めぐみさんが8月29日に始球式

3行サマリー

  • 台湾プロ野球の味全ドラゴンズが8月28日から30日までの3日間、台北の天母球場で『HUNTER×HUNTER』とのコラボ主題日を開きます。入場者への配布物は日替わりで3種類です。
  • 8月29日の始球式は、日本語版でゴンを演じる声優の潘めぐみさん。30日は台湾の人気夫婦「鉄牛・婷婷」が務めます。
  • 前の週には富邦ガーディアンズの『進撃の巨人』主題日が2日続けて雨で流れ、8月22日は満員の客に記念品だけを渡して解散していました。

SeriesHUNTER×HUNTER 味全ドラゴンズ主題日全2本

台湾プロ野球・味全ドラゴンズと『HUNTER×HUNTER』の連名主題日を、開催前の内容から当日の観客数まで追います。

  1. 2026/8/28【台湾】プロ野球の球場が『HUNTER×HUNTER』ハンター試験の会場に。ゴン役の潘めぐみさんが8月29日に始球式(この記事)
  2. 2026/8/30【台湾】HUNTER×HUNTERの野球コラボ、ゴン役の潘めぐみさんが始球式。観客9,566人は今季の土曜平均より254人多いだけ

天母球場が3日間だけ「ハンター試験」の会場になる。配布物は日替わりで3種類

台湾プロ野球(中華職業棒球大聯盟)の味全ドラゴンズ(味全龍)が、8月28日から30日までの3日間、本拠地のひとつである台北・天母球場で「HUNTER×HUNTER 獵人|味全龍聯名主題日」の第1弾を開きます。球団の発表によると、日本のアニメ側の正式なライセンスを受けた企画で、球場そのものを「ハンター試験」の会場に見立てるそうです。

入場者への配布物は3日間すべて違います。28日は円形の受験者プレートを再現した「ハンター試験ナンバープレートセット」、29日は試験合格の証という設定の「ハンターメタルライセンス」、30日は幻影旅団の団長クロロの特質系能力から発想したという「盗賊の極意 ノート」。いずれも数量限定で、なくなり次第終了と案内されています。

球場の外周には「ハンター試験の関門ブース」も置かれます。念能力の修行や作中の戦いをゲーム化したもので、クリアすると「グリードアイランドの指定ポケットカード」がもらえる仕組みです。配布物と関門をここまで作り込んでくるあたり、担当者が原作をきちんと読んでいるのが伝わってきますね。

自由時報と聯合報が同じ日に伝えた球団発表。撮影スポットは試練の門から幻影旅団まで

出典中職》味全龍攜手《HUNTER×HUNTER 獵人》「獵人試驗」第一彈8月底登場(自由時報・自由體育 / 2026年8月12日)

出典中職/味全龍X獵人聯名主題日第一彈 8月底天母化身「獵人試驗」會場(聯合新聞網 / 2026年8月12日)

首波活動將帶領球迷重溫故事最熱血的起點,化天母棒球場為考驗實力與信念的「獵人試驗」會場。

訳すと「第1弾は物語のいちばん熱い始まりをファンと一緒に振り返り、天母球場を実力と信念を試す『ハンター試験』の会場に変える」。両紙とも8月12日の昼に、球団が配った同じ資料をもとに伝えています。運営が別の2媒体が同じ数字を出しているという形ではなく、球団自身の発表がそのまま記事になっているので、ここでは「球団はこう発表しています」という形で受け取るのが正確です。

撮影スポットの内容も発表されています。「試練の門」、ハンター試験編の主役4人、天空闘技場の対決、そして幻影旅団とグリードアイランドで修行する2人組。内野側にも外周にも設置されるとのことで、球団は今回を「第一彈」(第1弾)と呼んでいます。9月にも同じ作品でもう一度組まれる予定です。

8月29日の始球式はゴン役の潘めぐみさん。台湾では主人公が「小傑」と呼ばれてきた

始球式のゲストがまた強い。緯来新聞網によると、8月29日は日本語版でゴン・フリークスを演じる声優の潘めぐみさんが天母球場のマウンドに立ちます。翌30日は、アニメと野球好きで知られる台湾の人気夫婦「鉄牛・婷婷」の2人です。球団は「作中の『念』がマウンドで爆発する」と予告していて、告知の時点でかなり気合いが入っています。

出典中職》味全龍獵人主題日超豪華!小傑聲優潘惠美 鐵牛婷婷接力攻占天母開球(緯来新聞網 / 2026年8月24日)

ここで日本の読者が一度つまずくのが、台湾側の呼び名です。台湾メディアは潘めぐみさんを「潘惠美」と漢字表記し、彼女が演じる主人公ゴンのことは「小傑(シャオジエ)」と書きます。原語の「ゴン」とは音がまったく重なりません。香港では発音に寄せた「岡」が使われていて、同じ中国語圏でも呼び名が割れています。

なぜ台湾だけ「小傑」なのかについては、翻訳担当者の身内の名前から取ったという説が古くから語られていますが、出版社が公式に説明したものは見当たりません。台湾の掲示板でも「どうして小傑になったのか」という質問が何年も繰り返し立っています。つまり台湾のファンにとっても、この名前は説明のつかないまま定着した呼び名だということです。日本語で「ゴンの声優が来る」と読むのと、台湾で「小傑の声優が来る」と読むのとでは、届いている固有名詞そのものが違っています。

PTTでは景品が絶賛され、コラボユニフォームは「蛍光グリーンで醜い」と総叩きに

台湾最大級の掲示板PTTの野球板を、日本時間8月28日午前の時点で確認しました。今回の主題日に関する投稿は少なくとも4本立っていて、内訳は次のとおりです。8月12日のコラボユニフォーム紹介が推薦数「爆」(PTTで100件超を示す表示)、8月24日の始球式ゲスト告知が76件と36件、8月25日のグッズ紹介が65件。告知だけでこれだけ伸びるのは、作品と球団の両方にファンがいる証拠でしょう。

ただし中身は真っ二つでした。配布物とグッズには「景品が最高」「メタルライセンスは争奪戦になる」といった好意的な書き込みが並ぶ一方、ゴンをモチーフにしたコラボユニフォームには「醜い」という一言が延々と続きます。色が蛍光グリーンに寄りすぎているという指摘が中心で、ヨッシー、ルイージ、ドラゴンボールの神龍、ポテトチップスのパッケージと、なぞらえられた対象を並べていくとキリがありません。「景品はすばらしい、ユニフォームは超ダサい」という一文が、この日の空気をよく表しています。

面白いのは、批判が作品への冷淡さから来ていない点です。「幻影旅団のデザインにしていれば売れまくったのに」「キルアやヒソカの配色のほうがユニフォーム向きだ」と、みんな代案を出してくるのです。念のため書き添えると、これらは匿名の書き込みなので、個々の投稿を事実の根拠には使えません。ここで確かなのは、SNSと掲示板でこれだけの反応量が出ているという観測結果のほうです。

前の週は『進撃の巨人』が2日続けて雨。満員の客に記念品だけ渡して解散した

この主題日には、直前に手痛い前例があります。同じ台湾プロ野球の富邦ガーディアンズが8月21日から新荘球場で開いていた『進撃の巨人』主題日が、2日続けて雨天中止になりました。緯来新聞網によると、8月22日は満員だったにもかかわらず、入場記念品を配り終えたあと午後7時すぎに中止が決まっています。

出典中職》「進擊的巨人」主題日連2天泡湯 陳昭如倡議賽前一天主客隊同意可提早開打(緯来新聞網 / 2026年8月23日)

不少「進擊的巨人」的海外漫迷就是為了主題日而來,但來了卻看不到球賽。

これは富邦ガーディアンズの領隊(球団代表)陳昭如さんの発言として報じられたものです。訳すと「『進撃の巨人』の海外のマンガファンには、この主題日のためだけに来た人が少なくない。それなのに来ても試合が見られなかった」。同紙によると陳さんは、前日までに主催側とビジター側が合意すれば午後5時開始の試合を午後1時か2時に繰り上げられるようにしてはどうか、と提案しています。振替試合では別の記念品を配りたい、とも話したそうです。

費用をかけた主題日が天気ひとつで飛ぶ。しかもその日を目がけて海外から人が来ている。台湾の8月は台風と夕立の季節ですから、味全ドラゴンズの3日間も同じ賭けの上に乗っています。実際、始球式のゲストが発表された8月24日のPTTでも、台風の接近を心配する書き込みがすでに混ざっていました。

日本のプロ野球との差は、球場を作品世界ごと作り替えるかどうか

日本でもアニメやゲームとのコラボデーはあります。ただ、ユニフォームとグッズが中心で、球場全体を作品世界に作り替えて、しかも3日間すべて別の配布物を用意するという密度はあまり見かけません。台湾プロ野球は6球団のうち5球団が今季後半に日本発のコンテンツと組んでいて、中信ブラザーズは9月に台北ドームで『鬼滅の刃』の無限城を再現すると予告しています。富邦ガーディアンズの『進撃の巨人』コラボも、好評を受けて2試合から5試合へ広げたものでした。

背景にあるのは、集客の主力商品が「試合」ではなく「その日しかもらえないものと、その日しか見られない光景」に移っているという構造です。味全ドラゴンズの過去の主題日を並べると、2023年に『呪術廻戦』、2024年にセガのアーケードゲーム、2025年と2026年にホロライブと、日本のIPが繰り返し使われています。日本の作品が海外でどう扱われているかを知りたい人にとって、台湾の球場は今いちばん密度の濃い観察場所のひとつです。

そして日本のファンにとって実利のある話もひとつ。『HUNTER×HUNTER』は連載再開で海外の熱量が戻っている作品です。日本国内で公式グッズが出るより先に、台湾の球団が球場限定の配布物として出す。この順番が起きるのは、権利元が海外のライセンス案件を止めていない証拠でもあります。

台湾の球団にとって、日本のマンガは天気に賭ける高額商品になっている

今回の3日間で本当に問われるのは、配布物のクオリティでも、酷評されたユニフォームでもありません。台風が来る季節に、高い版権料と制作費をかけた企画を屋外で走らせ切れるかどうかです。前の週に富邦ガーディアンズが証明してしまったとおり、この賭けは負けることがあります。

それでも台湾の球団は日本のマンガから手を引きません。作品世界を丸ごと持ち込めば、負けている試合でも人が来るからです。日本のIPが海外でどう働いているかを見るとき、私はライセンス収入の額より、こういう現場のほうを信用しています。8月29日、天母のマウンドでゴンの声が響くのかどうか。天気予報を見ながら待つことにします。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。